クリスマスを待ち焦がれるお菓子、シュトーレン。
クリスマスのお菓子の中でも、ここ数年で着実にファンが増えつつあるシュトーレン。
クリームで装飾されたケーキと比べると見た目が若干(かなり?)地味ですが、
食べてみるとドライフルーツとバターの香りが味わい深く、素朴だけど複雑で、
癖になる美味しさです。
以前は、輸入食品を扱うお店で見かける程度しか出回っていませんでしたが、
最近では、日本の洋菓子屋さんやパン屋さんでも定番化しています。
シュトーレンは現代の流行に乗って登場したスイーツではなく、
ヨーロッパで何百年も前から受け継がれてきた、伝統的なお菓子。
まずは、その歴史や背景を整理しておこうと思います。
もくじ
シュトーレン(シュトレン)の歴史
原点は14世紀のドイツ。
教会の司祭にクリスマスの贈り物にされた食べ物が
15世紀になるとシュトレンと呼ばれはじめ、
ヨーロッパ各地に広まりました。
発祥はドイツですが、
オランダやフランスをはじめとしたヨーロッパの国々では、
今でもクリスマスに欠かせない、
伝統のお菓子として受け継がれています。
昔のヨーロッパでは、
待降節の期間は普段よりも慎ましやかな食事で過ごしたと言われていますが、
(肉食を控える、曜日により断食を行うなど、諸説あります)
そんな中でも、シュトーレンはバランスよく栄養補給ができる貴重な食品として重宝されていました。
お菓子のようではありますが、材料には
小麦粉、数種類のドライフルーツ、ナッツ類がふんだんに使われていて、
タンパク質、ビタミン、ミネラル、糖分など、生きるために必要な栄養素がきちんと含まれているのです。
シュトーレンの語源・意味
語源には諸説ありますが、
ドイツ語で「坑道」や「柱」という意味があると言われています。
「坑道」という説では、
シュトーレンの断面が山型であることと、
表面の砂糖は山肌に積もった白い雪、
種類によっては、アーモンドのペースト(マジパン)が
棒状に通っている部分がトンネルにたとえらているようです。
また、イエスキリストの誕生になぞらえて、
幼子イエスが産着にくるまれた様子にたとえられていることも有名です。
シュトーレンは、いつ食べる?
シュトーレンは、クリスマスイブや当日に食べるお菓子ではなく、
クリスマスまでの4週間(アドヴェント、待降節)の間に、毎日少しずつ食べるお菓子です。
長期に渡って楽しむお菓子なので、日持ちがするように作られています。
酵母入りの小麦生地にナッツやレーズン、オレンジピールなどを練りこみ、
しっかり焼き上げたケーキの周りに粉砂糖をたっぷりまぶした、昔ながらの保存食です。
待降節は、キリスト教の西方教会の宗派の習慣です。
古くは、アドベントの期間中に乳製品を摂ることは禁止されていましたが、
その後、バターが許可されるようになってからは、
それまでの地味な保存食が一変して、楽しみなお菓子に変化しました。
練り込まれたフルーツとバターの風味が、日を追うごとにパン生地に移っていくため、
シュトーレンは、味が毎日変化します。
ヨーロッパの人々にとって、待降節は、
1日ずつクリスマスに近づいていくというワクワク感が高まる期間。
同時に、今日より明日のシュトーレンが美味しくなっているということも
大きな楽しみになっています。
シュトーレンの食べ方
冷蔵庫で冷やしたものを、薄くスライスするだけです。
厚さ 7mmにスライスするのが正式とも言われていますが、
その前後の厚さでも、もちろん美味しくいただけます。
気軽に、手でつまんでいただきましょう!
ドライフルーツの風味が効いているので、ワインに合いますし、
おやつとして食べる場合は、コーヒーや紅茶、
お子さまなら牛乳とも相性ぴったりです。
クリスマスシーズンが過ぎてしまうとなかなか手に入らないので、
興味のある方は、ぜひこの時期に。
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